風間八宏 FOOTBALL CLINIC Vol.1 [DVD]


まずはこれを紹介したいと思います。

風間さんが指導するDVDシリーズの第1号です。
このDVDのタイトルは「止める」。

トラップなら指導しているし、うちの選手は一通りできるから大丈夫。
タイトルを見て、そう思ったコーチの方、いらっしゃるのではないですか。

私も正直、最初に買ったのはこのシリーズのVol.2「運ぶ・外す」でした。
ドリブルの効果的な練習方法を求め、購入したのですが、見てすぐに全巻揃えることを決めました。

そしてなぜこのDVDを見てすぐに、風間さんがVol.1のテーマを「止める」にしたのか分かりました。

質の高いサッカーを目指そうとすれば、高い精度が求められます。
そしてサッカーのすべての基本は「止める」「蹴る」「運ぶ」です。
これらが高い精度でプレーできなければ、質の高いサッカーの実践は難しい。
そのために、基本中の基本である「止める」というプレーを、このシリーズの最初に持ってきたのだと思います。

実際にDVDの中で風間さんが手本を見せていますが、これが実にうまい!
さすが! というプレーで、まさにデモンストレーションはこうするんだ、というものです。

詳しくはぜひDVDを購入してご覧になっていただきたいのですが、この中のテーマとして「どこに止めるか」ということにこだわり、練習しています。
いかにすぐ蹴ることのできる場所にボールを止め、次のプレーにつなげるか。

風間さんのこのシリーズのDVDを見ると、「速いプレー」というのは急いで行うプレーではなく、正確なプレーをして次のプレーの準備を速くすること、と言うことが分かります。

購入された方はまず、最後の3対2をご覧になって見てください。
相手をうまく外しながら、四つのマーカーの中で三人が二人のディフェンダーを相手に、しっかりとパス交換をしてポゼッションしています。
「うまいなぁ」そう感じるだけでしょうが、この最後の部分を見て確認してから、改めてDVDの最初から展開されるトレーニングを追っていくと、それらの練習の積み重ねで、最後の3対2になるんだ、ということが分かります。

風間さんの本、そしてDVDの最大の特徴は、漠然とやってきた事柄を一つ一つ言葉で表現し、理論として展開している点です。
このVol.1のメインテーマである「止める」というプレーに関しても、足のどこに当てるとしっかりボールを止められるのか。
トラップの動作は? 止めた次の瞬間はどこに身体を置くといいのか?
そうした人を一つ一つ、明確な理由とともに説明してくれます。

漠然と練習するのではなく、明確な目標を持ち、正確性を徹底して追及して反復練習を重ねる。
当たり前のことではありますが、いかにそれが大切か、このDVDは教えてくれます。

 

 

川上滋人