指導者がもっと考えるべき『段取り』とは

私が長く取材しているオートバイのレースの世界では、段取り8割と言われる。一見すると、単純に速く走れるライダーが勝てるように思われがちだが、実際はバイクの部品からセットアップのためのデータまで様々な準備をサーキットへ行く前に行い、その差がラップタイム、レース結果に出る。今日、ある試合を見てきたのだが、そこで展開されたのは行き当たりばったりのサッカーだった。そこでハタと気付いた。こういうサッカーをさせてしまう指導者は、準備というものができていないのではないだろうか、と。今日はそのことについて書きたいと思う。

 

ボールを大切にし、確実に相手ゴールまでボールを運ぶサッカーをするためには、ボールを運ぶ道順を考えなければならない。ボールがどっちに転ぶか分からないサッカーをするチームの場合はすべてが行き当たりばったりで、『確実』に相手ゴール近くまでボールを運ぶというねらいが、偶然に頼るしかなくなってしまう。

 

なぜそうなるかを考えると、相手のゴールまで『確実』に運ぶための地図を持っていないという現実に突き当たる。

 

『確実』に相手ゴール近くまでボールを運ぶためには、可能な限りミスの起きにくい方法を取りたい。パスならいちばん正確なインサイド、あるいはダイレクトパス。ドリブルならフリースペースを進む、運ぶ種類のドリブル。出来ればグラウンダーで、しかも選手間の距離は短い方がパスミスは起きにくい。

 

ポゼッションを大事にするオランダは、ゴールキーパーからのパントキックよりも、ディフェンス陣に手で投げて渡し、そこからビルドアップするのを好む。それはひとえに、パントキックはボールを相手に渡す確率が高くなるからで、出来るだけ『確実』にボールを前に運びたいからだ。

 

ゴールキーパーがボールを保持したとき、センターバックは両サイドに開きながら下がり、前向きでボールを受けるようにする。そうしてセンターハーフは両サイドに開いたセンターバックの間に下がり、フリーであればゴールキーパーからボールを受けて前を向き、ピッチ中央から攻撃を組み立てる。こうして、相手ゴール近くまで確実にボールを運ぶための地図を選手が描いていくわけだ。

 

選手の受け方、ボールの持ち方、前を塞がれた状況でのサポートの入り方、逆サイドの意識などを練習すれば、ボールを大事にしながら相手ゴール近くまでボールを運ぶイメージが、選手の間に作れるはずだ。

 

こうした準備が指導者には重要だ。準備ナシに、目の前で試合中に起きた事象に対し、修正を加えようとしても、選手にプレーイメージがなければ行き当たりばったりなサッカーになってしまう。どれくらい試合を想定し、ボールを前に運ぶ地図を持ち、練習の中で選手に意識付け出来るか。その準備が非常に重要だし、練習と試合を繋げる重要なキーワードにもなってくる。何事も、段取り8割だ。

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