『奇跡のレッスン・ミゲルさん被災地へ』を見て

昨夜NHKで、奇跡のレッスン「ミゲル・ロドリゴ被災地へ」と題し、元フットサル日本代表監督のミゲルさんが被災地のサッカーチームへ行った特別レッスンが放送された。ご存知の方もいると思うが、この奇跡のレッスン第1回は、私が代表を務めていた少年サッカーチームへのミゲルさんの指導だった。そんな私が見た昨晩の番組の感想を、今日は書きたいと思う。

 

子供たち自身の考える力を引き出すアプローチ、モチベーションを高めるミゲルさんの力は、私が実際に1週間のトレーニングの中で目の当たりにしたものそのままだった。

 

サッカーコーチをしている人にとっては「あるある」と思ったろうが、自分でラインゴールをドリブルで突破できるのにパスしてしまったり、ゴール前でボールを持ったにもかかわらずパスを選択してしまったり、日本人的プレーをミゲルさんがフリーズさせ、考えさせていた。

 

最近日本のサッカー指導現場では、「教えすぎない」という風潮が強い。それ自体は決して悪いことではないと思う。でもミゲルさんの指導をよく見てほしいのだが、彼は決して教えていないわけではない。サッカーの原理原則である「得点を相手チームより多く取る」ためのプレーをしようと、そこへの積極的なアプローチを促しているわけだ。

 

放送の中でそうしたシーンはなかったが、ミゲルさんは「ボールを大切にする」フットサル、サッカーを志向する。それがスペインサッカーの基本だと私は、ミゲルさんとの個人的な会話の中で話してくれた。そしてそれは、現代サッカー、フットサルでも基本となっている。恐らく今回の特別レッスンの冒頭でも、そうした説明を子供たちにしたはずだ。自分たちのボールを簡単に失わないようプレーしよう。それが恐らくパスをし、相手のギャップに入ってボールを受けようとする番組の中で見せた子供たちのミニゲームでのプレーに繋がったはずだ。

 

ボールを失わないプレーをするために重要となる個人技術の一つに、足裏を使うプレーがある。番組の中で、「ネイマールがよくプレーする」とミゲルさんが説明していたが、足裏を使うことで、特にビギナーレベルのサッカー、フットサルの中で、ボールを失わない確率が飛躍的に上がる。

 

こうした「ボールを大切にする」こと、足裏を積極的に使うプレーなどは、ティーチング、つまり教えなければ選手の中から自然に出てくるものではない。そこはティーチングすべきだし、ドリブル突破出来るのにパスをしてしまったり、ゴール近くでボールを持ったのにシュートせずパスをしてしまったりというプレーに対しては、答を引き出すようコーチングすることが重要となる。

 

そのあたりは指導する側にとって、とても重要なポイントとなる。「教えすぎない」と一言で片付けてしまうほど、簡単な問題ではない。サッカーのプレーに模範解答がないように、サッカーコーチにも模範解答はない。選手以上にコーチには『考える』ことが常に求められている。

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