名古屋グランパス・風間監督コメントの行間から考える『スペース』の認識と使い方

J2第12節名古屋グランパス対モンテディオ山形の試合後の記者会見で風間監督が記者から「攻撃が単調で、密集を攻めるだけでなく、大きい展開を織り交ぜるべきだったのでは?」という質問を受けた。これに対して風間監督は「本当に密集が作れているか。作れていない。単純に空いた場所にボールを出しても簡単に相手は崩れない」と答えた。非常に興味深いやり取りだったので、風間監督の言葉の中から私が感じたことを書きたいと思う。

 

そのやりとりは、Jリーグのオフィシャルサイトのマッチレポートの中にある。

 

 

記者「攻撃が単調になりましたが、サイドに人を掛けて密集して攻略する中で、もう少し判断で大きい展開、サイドチェンジなどを織り交ぜた方が良かったかなと思いますが、どうでしょうか」

 

風間監督「それはあなたの意見ですね。簡単に言うと、じゃあ本当に密集が作れているか。作れてないです。全くボールも自分たちは扱っていませんし、1つは何かというと、単純に空いた場所にただ出しても、簡単に相手は崩れない。ただ、その前にどれだけの仕掛けがあるか。それには技術です。ボールも止まらない。それから、ボールを走らせることができない。そういうことで敵が見えない。これでは攻撃にならないです。そういう何かやり方の話じゃなく、あまりにも余裕がなかった」

 

風間監督が考える「密集」とは、主導権を持ってその中にスペースを自分たちで作ること。外部の人たちにとっては狭いスペースに見えるが、選手たちにはボールを動かす瞬間、それだけのスペースがあれば十分だから狭く見えない。相手を動かしながらボールをその中で操ることが出来ていなければ、風間監督の考える真の「密集」にはならないわけだ。

 

そうして密集が崩せなければ、逆サイドなど広い場所へボールを動かしたとしても、崩せないからまた同じこと。単に逃げているだけで、崩すことはいつまで経っても出来ない、というわけだ。

 

相手を見て、その位置、動いている方向を認識した上で、その逆を取り相手を動かすことで後手を踏ませ、崩していくことが良い攻撃となっていく。

 

そうして相手を見るためには、ボールを止めたいところに置く技術が必要だし、ボールもしっかりと動かさなければならず、そこでも技術が必要となる。止める、蹴る、運ぶの技術がなければ、目指すサッカーにはならないということだ。

 

このゲームのTV中継中で解説の方が「これだけの選手が名古屋には揃っているから、中盤を飛ばして前線に長いボールを入れれば、それなりに得点が取れて勝ち星は得られるかもしれないが、そういうサッカーを目指しているわけではない」と語っていた。たしかに目前の勝利だけを求めるなら、そういう戦い方もあるだろう。実際、多くのJチームがそうした戦いをしている。

 

しかし、その先に何があるか。確実に得点を取るためには、相手を崩す技術が必要だ。それが備わっていれば、スペースがあろうがなかろうが、それに関係なく相手選手を動かし、ボールを前に運べる。

 

簡単な言葉のやり取りだったが、実に奥深い風間監督のコメントと感じた。

 

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