規律。そして戦術。

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ジュニアサッカーの世界でよく聞く言葉の一つに、「大人のサッカー」「子供サッカー」というものがあります。

子供のサッカーとは、おおよそそのイメージどおり、ボールに子供達が群がる団子サッカー。
大人のサッカーとは、パスを中心にプレーするため、ピッチ上にバランスよく選手がポジショニングして展開されるサッカーです。

具体的なコーチングをせず、好きにやられるとまず100%、団子サッカー、つまり子供のサッカーになります。

日本の指導者の中で言われる「教えずに気付かせろ」の、「教えずに」の部分を重視して練習をしていくと、団子サッカーになります。

私自身が、教えずに気付かせることで何とかこの状態から脱しようと、トライしていた時期もありました。
ですが簡単には、教えずに団子サッカーを脱することはできませんでした。

では海外ではどうしているのでしょう? 私はサッカー先進国に、その答えを求めました。
そうした観点から、海外の育成情報は自分なりにアンテナを張り、チェックしているのですが、2010年10月27日号のfootballistaの「footballista フットボリスタ主義」ページで、この本の編集長である木村浩嗣氏がスペインの10,11歳のサッカーチームの状況について、実に興味深いlことを書いていました。

ご存知の方も多いと思いますが同氏は、footballista編集長でありながらスペインに住み、現地から本の編集作業と自らの執筆を行いながら、スペイン人のジュニアサッカーチームのコーチも務めています。

この号で同氏は、リーガ・エスパニョーラ所属セビージャのアレビンカテゴリーチーム(10、11歳)の試合前練習と試合ぶりを紹介しているのですが、これが実に興味深いものでした。
この文章自体はひょっとしたらこの本(フットボリスタ主義 footballistaに掲載されたフットボリスタ主義から厳選されたコラムをまとめた本 )に掲載されているかも知れませんが、特に私が興味深かった数行をここで紹介したいと思います。

『出てきた五人がまたロボットのように同じサッカーをする。この子はドリブルが好きとか、ミドルシュートが得意とか、まったく個人の特徴が際立たない。わかるのは、とてつもない精度と強さで全員がトラップ、パス、シュートをすることである。”ロボット”と言うと響きが悪いだろうが、感情すら見えにくい超規律の取れたチームなのだ』

『どうだろう? 自由奔放な印象のあるスペイン、それもセルヒオ・ラモスだのヘスス・ナバスだのカペルだののj個性が花開いているクラブの小学生で、このくらい型にはめている。やはり平凡を強要されて伸びないような個性は、本物の個性ではないのだろう。そうしてチームスポーツで規律と戦術は、集団と個人の勝利のための間違いのない近道だとあらためて思った。』

チームスポーツを戦うには、規律が必要です。
そしてそれは、それぞれのスポーツに原理原則として必ず存在します。
そのスポーツで上手になりたいのであれば、『サッカーは手で触るとハンドというファールになる』という基本的ルールと同じくらいのレベルで、原理原則を学ぶ必要があると私は考えます。

その原理原則に基づき、チームとしての戦い方が戦術で、これも自ずと重要で理解しておかなければならないのは言うまでもありません。

サッカーは点を取り合って勝敗を競うスポーツだから、シュートをねらうのが最優先。
点を取られないようにするためには、相手にシュートをさせないようにしなければならない。だから守備をする際のポジションは、前の前の相手がボールを持っていれば、ボールとゴールの間に立つ。
試合で勝つためには確実に何度も相手ゴールの近くまでボールを運び、シュートしたい。そのためには、相手の数が少ないところをねらってボールを運んだほうが効率が良い。

これが、サッカーの原理原則。
これに基づき、それぞれが守るべき規律を練習で身に着けさせる必要があると考えるようになりました。

だから、サッカーというスポーツをする限り、子供も大人もなく、原理原則を守ってプレースべきだし、そうなるようにコーチングすべき。

私はそう考え、現在はそのコンセプトに沿って指導を行っています。