Gunners_Spring_Soccer_2010_2162 / KG Sand Soccer
育成年代の選手のサッカーコーチをする上で、私が常に考えていることは彼らが大人になったときのサッカーの姿です。
これから5年、10年後のサッカーはどういうサッカーになっているのか。
もちろんはっきりとした答えはだれにも分かりませんが、そこで通用するような基本技術を育成世代に身に着けていなければ、彼らが成人になったとき、サッカー選手としての活躍は難しいものになってしまいます。
以前にも書きましたが、私が育成年代の子供たちとサッカーを一緒に学ぶ中で、ある対人恐怖症の子はそれを克服し、また別の何をやっても自分に自信の持てない子が、学級委員をするくらい積極的になりました。
そうした力も、サッカーの持つ力の一つだと思います。
そしてそういう人を変える力を持つからこそ、その逆に、人をマイナスの方向に導いてしまう可能性も、そこには潜んでいる。
そのことは、育成年代のサッカーコーチをする一人として、肝に銘じておくべきといつも自分自身に言っています。
サッカーは、ボールを持っている人間が絶対的優位とはなりません。
これが例えば同じボールゲームでも、バスケットボールやハンドボールのように手でボールを扱うスポーツであれば、状況はまったく変わります。
そこではオフェンス側のボールを保持しているチームが、絶対的に優位となります。
目の前の選手がボールを保持しているとして、守備側の選手は目の前の攻撃者からボールをすぐに奪うのはまず不可能です。
ですがサッカーにおいて、ボールを持っている攻撃者が絶対的優位とはなりません。
ディフェンス側の選手にプレッシャーを掛けられてボールコントロールを誤り、ボールを奪われてしまうような状況は常に起こります。
この点が、他の手で行うボールゲームと大きな差になっています。
では今後のサッカーは、どういうものになっていくのか。
それは恐らく、同じボールゲームであるバスケットボールやハンドボールのように、ボールを保持する側の技術が高まり、守備側に簡単に奪われずに攻撃の最終目的、つまり点を取るためにシュートを打つ、ということろまで効率よくボールを運ぶようになっていくのではないでしょうか。
その手がかりとなるのが、現在のモダンサッカーの最先端と言われるバルセロナのサッカーになるのでだと私は思います。
サッカーは点を取り合って競われるスポーツです。
そのサッカーで勝利を収めるためには、何度も確実に相手ゴールの近くまでボールを運び、シュートを打ってたくさん点を取ることが大切になります。
そのためには確実にパスを繋ぎ、空いたスペースではドリブルをして相手ゴールに近付き、シュートが打てる距離までたどり着いたらシュートを打つ。
その練習を、育成年代では意識して練習すべきではないでしょうか。
勝つことを最大の目的とし、相手ゴール前に放り込み、背の高いフォワードをおいてヘディンで競らせてゴールする。
それも一つの勝ち方ではありますが、育成年代のサッカーとしてどうなのか、私は疑問を持ちます。
ある意味、サッカー選手としての人生を左右してしまうような大切な時期を預かる育成世代のサッカーコーチ。
もちろん、バルセロナ以外のスタイルも、ありです。
大切なのは、サッカーの将来の姿を見据え、育成世代の選手のトレーニングに向かうこと。
答えがたくさんあって当然ですしまた、そうあるべきだと思います。
ですが未来像だけはしっかり見据えるべき。
このことは本当に、しっかりと考えないといけないテーマだと思います。
川上滋人