私が新たにチームを指導するとき、必ずと言っていいほど行う練習がこれです。
チームとしての規律ができているチームであれば、これは基本中の基本なのでとトレーニングとして行う必要がないかもしれませんが、現状、私が指導する小学生・中学生レベルだと、できていない場合がほとんどです。
選手に学んでほしいことはただ一つ。
「守備の基本位置はボールと自分たちのゴールの間」
これだけです。
サッカーは『点を取り合うスポーツ』です。
ですから相手チームに勝つためには、相手よりも多く得点を取らなければなりません。
とはいってもサッカーは点をなかなか取れないスポーツですから、相手に与える得点は少なければ少ないほうがいい。
点を取られにくくするためには、相手にシュートを打たせなければいい。
というわけで、相手がシュートを打ちにくくするために、『ボールとゴールの間に立つ』わけです。
(この赤線部分は選手に問いかけをしながら、答えを導き出すようにコーチングしてあげてください。気付きへのアプローチです)
この練習をしておけば、試合中でも守備の位置がずれたときに「守備の基本の位置はどこ?」と声をかけるだけで選手は思い出します。
そしてこれが身に着けば、攻撃はその裏返しですから、どうやって攻めるかという練習もレベルが上がります。
そういう意味で、私はこの練習が基本中の基本としています。
具体的練習のやり方
1)設定状況は、ディフェンスが頭の上を浮き球でパスを通されたため、パスが頭上を超えていく状況の中で急いでディフェンスとして入るべき位置(相手とゴールの間)に入って守備をする、というものです。
攻撃者はボールを受け取ったらゴールの両サイドポストめがけて走り、ポストにタッチしたら攻撃者の勝ち。
攻撃者にタッチできたら守備者の勝ち、というルールです。
時間をかけて攻撃する類の練習ではありませんので、コーチからボールが渡って15秒程度で勝負がつかない場合はドローとし、次の選手の練習を続けます。
オーガナイズはゴールから普通の歩幅で約20歩が攻撃者の位置。
そのセンターサークル側に守備者が入り、コーチはさらに内側に入ります。
この練習はすべて、手でボールを持って行います。
2)スタートはコーチがボールを持ちます。守備者にパスをし、ボールを受け取った守備者はコーチに再びボールを返します。
3)コーチがボールを守備者の頭越しに、攻撃者にパスします。
守備者は急いで頭上をボールが肥えていく中で攻撃者とゴールの間に入り、攻撃者にタッチします。
4)攻撃者はターンし、ゴールの両サイドポストめがけて走ります。対する守備者は走り抜けられないよう、常に『ボールとゴール』の間に入り、間合いを詰めながら抜かれないよう縦方向をケアします。
5)起こりやすいのが、守備者が間合いを詰めすぎて横に逃げられ、身体を入れ替えられてしまうケース。
攻撃者のほうが足が速い場合に起こりやすく、実際の試合でも起こりやすい状況です。
相手の足が速いようであれば、少し間合いを取って飛びこまず、縦へのケアをするようコーチングしてあげます。
川上滋人