パスコースを作る

サッカーはとても難しいスポーツだといつも感じます。
ぜならば、選手には実に様々な要素の中から選択を求められ続けるからです。

状況を判断し、何をすべきか決定し、実行する。

これを試合中、最初から最後までやり続ける必要があります。

何も考えなければ、目の前に転がってきたボールをただ蹴るだけになってしまうでしょう。
そのボールは味方に渡るかもしれないし、相手チームの選手に渡るかもしれない。

そうした成り行き任せのサッカーでは、なかなか点を取ることは難しいですし、試合に勝つことも難しくなります。

試合に勝つためには、点を相手よりも多く取らなければなりません。
点を取るためには、ボールを、シュートが打てる場所、具体的に言えば相手ゴールの近くまで何度も運ばなければなりません。

何度も相手ゴールの近くまで運ぶためには、相手選手がたくさんいる場所よりも少ない人数の場所にボールを運び、前に進めた方が楽です。

ドリブルで相手選手が少ないところにボールを運ぶより、パスでボールを相手選手の少ない場所に運んだ方が確実です。

ですから、まず大切になるのは相手にボールを奪われないようにボールを維持する、つまりポゼッションすることになります。

ドリブルして一人の選手がボールを持ち続けていれば、相手選手が何人も来て囲まれてしまうでしょう。

これは非常に効率の悪いポゼッションとなってしまいます。
確実にボールを自分たちが持ち続けるためには、相手選手の少ないところにボールを運び、そこでパスを回せば楽になります。

このあたりをしっかりとトレーニングせずに試合をさせると、まず団子サッカーになりますし、ボールを持っていない選手は「ヘイ! ヘイ!」と声を出してボールを要求するのですが、まずほぼ全員が相手選手のすぐ近く、あるいは相手選手の背中に隠れているポジショニングとなっています。

しっかりとボールを回すためには、まずパスライン(パスコース)を作る必要があります。
具体的にはボール保持者に対して幅、深さを出す必要があるのですが、幅、深さに関してはここで紹介したトレーニングが効果的であると考えます。

そしてパスコースを作るイメージを選手に持たせるにはどうしたらいいか?
それには、非常にベーシックな練習となりますが、いわゆる鳥かごが有効であると考えます。

図1は、ベーシックな鳥かごを示してみました。
オーガナイズは、10歩、小学低学年であれば5歩でもいいと思います。

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図1 鳥かごの基本レイアウト

 

 

 

 

 

 

四つの角にマーカーをおき、正方形を作り、それぞれのマーカーの間に一人ずつ選手を入れます。

最初は基本的な動きをシミュレーションするために、ディフェンダーは入れず、マーカー間の四人だけでボールを動かすとよいと思います。コーチがディフェンダーになり、ゆっくりとボール保持者に手を広げてプレスをかけ、どうやったらパスを受けられる? と問いかけてあげてください。

図2 ボールの動きに対して回りのサポートの動き

図2 ボールの動きに対して回りのサポートの動き

 

 

 

 

 

 

ボールを持っている人と自分の間に誰もいない状態。

これが、パスコースを作る、ということです。
そのためには、ボール保持者に対して広い角度(幅)を出してあげてサポートに入る。

図3 ボールが今度は下の辺の選手にパスされた状態

図3 ボールが今度は下の辺の選手にパスされた状態

 

 

 

 

 

 

これを、どんどんボールを動かし、そのボールの行き先に応じてサポートに入る練習をします。

慣れてきたら次に、ディフェンダーを入れて実際に鳥かごを行います。

動き続けると、2分でもかなりハードなトレーニングになります。
時間をしっかりと計り、2分間行ってみましょう。

パスコースを作るというキーワードで、ボール保持者と自分の間に誰もいない状態を作るというイメージが、選手の中に作ることができます。

ゲームの中で、パスをもらおうとしながら、相手選手の後ろに隠れてしまう状況がよく起こるでしょうが、そうした際にはコーチが「パスコースを作ってあげよう。どうしたらよかったっけ?」とキーワードを言ってあげれば、ボールを持っている仲間と自分の間に誰もいない状態、つまりパスコースを作る位置に動くはずです。

さらにこのトレーニングと平行して、身体の向きを作るトレーニングが重要となります。
これに関しては新しいページで紹介します。