菅平高原への合宿 その1

キック 練習 裸足

 

 

 

 

 

 

 

 

先週末は、長野県菅平高原に合宿へ行ってきました。

小学1年生から中学2年生まで総勢31名。
コーチを含め、35名での合宿でした。

いつもの練習は1時間半から2時間ですが、この合宿は天然芝のサッカーフルコートを三日間貸し切ることができるため、文字通り、朝から晩までサッカーをします。
サッカーは他のスポーツと異なり、走ったり考えたりと疲労度が高いため、プロでも2時間の練習が限界といわれています。
もちろん私たちもそれは認識していますが、育成世代に大切な基礎練習をこの合宿でたっぷりある時間を使い、習得することに主眼を置いています。
止める・蹴る・運ぶの基礎技術は、なによりも繰り返しの練習しかありませんから、それをこの合宿で徹底して行います。
とは言っても、やみくもに練習すればよいというわけではないので、足のどこにどう当てたらボールはどのように動くのか。
1回1回意識し、その結果がどうだったか、特にボールの回転をチェックするようコーチングして練習を促します。

ボールの芯(中央)を外してトラップすれば、ボールは回転します。
正確に芯を捕えてトラップできれば、ボールは横に回転しない。
下過ぎれば浮くし、上すぎると後ろに抜けてしまう。

まずは横回転しないようにトラップし、そしてインサイドで蹴る。
これを繰り返しました。

また今回はせっかくの天然芝ですから、シューズを脱ぎ、ストッキングだけの状態でボールを蹴らせます。
この話はまた改めて書きますが、早い段階でスパイクを履かせるのは避けるべきと私は考えます。
しっかりとボールに当てる面を足で作ることができない状態でスパイクを履いてしまうと、スパイクがカバーしてくれるため、面をしっかりと作ることができない状態でも、特に小学生の使う4号球だとそこそこ飛んでしまいます。

ストッキングだけの足でボールと蹴ると、たいていの子は痛がります。
しっかりと足の固い部分にボールを当てることができていないからです。

痛いから足の固い部分(骨)のエリアに丁寧にボールを当てる。

この感覚が、ボールを蹴る際には重要になるわけです。

インサイドは二人一組で、5mほど離れた距離で蹴りあう。
インステップは、同じ距離で今後は手でボールを持ち、目の前にボールを落としてノーバウンドで正面の子の胸めがけて山なりのボールを蹴ってみる。

ボールの中心を、インステップの固い足の甲の部分を当てる感覚を覚えてもらう練習です。

これをしっかり行った後、今度は実際に動くボールを蹴ります。

今回は特に正確なインサイドキック、インステップ(インフロント)キックを身に着けてもらいたいため、インサイドキックでのシュート練習から始めました。

ゴールから20歩ほど離れたところにマーカーを置き、ゴールの中からコーチがボールを転がし、選手は前から来たボールを蹴ってゴールに入れます。

キック練習の際、動くボールを蹴るというテーマの中でもっとも容易に蹴りやすいのは、前から来たボールだと私は考えます。
ですから、キック練習の基本は常に、前からボールを転がしてあげて選手に蹴らせます。

強いインサイドキックを蹴ることができれば、長めの距離でも正確なパスが出せます。
強いインサイドキックを蹴るからといって、力を入れる必要はなく、足の面をしっかりと作って固定し、バックスイングを大きくとれば、自ずとボールには大きなパワーが与えられ、強いボールになって飛びます。

この感覚を、前から転がってくるボールを蹴ることで経験してもらいたいのです。

もちろん、蹴る前にはしっかりとゴールを見て、ボールを蹴る瞬間はしっかりとボールを見る。

私は、インステップキックとインフロントキックと、小学生年代では特にこだわって指定しません。
私の経験から考えると、サッカーの試合の中でもっとも多く使われるのがインサイドキックで、その次がインフロントキック、最後がインステップキックです。
ただし、足の使い方の感覚で、人によってはインステップで蹴る延長線上にインフロントキックがあったり、インフロントキックの延長線上にインステップがあったり、これは感覚の部分なので一概に「こう」とは言いにくい部分だと感じています。

私の場合は足の甲の内側、親指から足首にかけての線上のもっとも盛り上がった部分を正面に当てるとインステップで、その若干内側に当てるのがインフロント、という感覚です。

インサイドキックがサッカーの試合の中でとても重要なのは間違いありませんが、インステップキックばかりにこだわるのもどうかと、私は感じています。
というのも、先ほど書いたようにサッカーの試合の中でインステップキックよりもインフロントキックのほうが使う場面が多いからです(とは言え、人によってはインフロントキックもインステップの延長線上で蹴っている感覚を持っていることがあるので、外側から見ていてインフロントキック、ということにここではしたいと思います)。

私は幼稚園生の年長さんでも、前からボールを転がしてゴールの中にシュートする練習をします。
「できるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、意外と強いシュートを決めるものです。

そして多くの子が、自然とインフロントで蹴ります。
ここで、足の甲を「正面に当てる」と、インステップで蹴ることにこだわるコーチがいますが、私は特にこだわりません。
蹴りたいのは「強いキック」ですから、それをそれぞれの選手がどういう種類のキックを選択するかは、その選手の判断だと考えるから、というのが理由の一つ。

そしてもう一つの理由は先ほど書いたように、試合の中で多く使われるのがインフロントキックで、これを正確に蹴ることができれば、インステップキックが蹴られなくても試合では困らないと考えるからです。

こうして幼稚園生の時代から練習をしていると、小学1年生に上がった時にはけっこう強烈なキックをもつようになり、サッカー大好き、サッカーに対して自信を持つ元気な子になるものです。

合宿練習の話はさらに続きます。

川上滋人