天性の身体能力に左右されないのがポゼッションサッカー

 その中で特に興味深かった部分が、118ページからの「ポゼッションサッカーにこだわる理由」でした。城福さんがポゼッションサッカーにこだわるのは、何よりも選手に「楽しい」と感じてほしいからだと述べています。そして選手にとっての「楽しみ」とは、「ボールにたくさん触ること」だと考えていると書いています。

私もサッカーはパスゲームであり、自分たちのボールを大切にプレーすることがサッカーにおいてとても大事だと考えています。

ですが、楽しさという面からポゼッションサッカーを見ていなかったので、ちょっと意外に感じる考え方でした。そしてそこで、ハタと気付きました。

私がなぜ、FCバルセロナを好きなのか、という理由を。

それは、ポゼッションサッカーは身体能力にあまり依存しない戦い方、ということです。

現在もそうですが、私はサッカーエリートが集まっているようなチームで指導するよりは、一般的なサッカーの好きな子と一緒にボールを蹴り、彼らの能力を少しでも高めることがしたいと思っています。サッカーは『考える』ということがとても大切なスポーツで、そのことにより、身体能力の差は埋められると考えていますが、改めてそのことに、城福さんの本を読んで気付かされました。

そしてFCバルセロナは、身体能力の恵まれた選手ばかりではなく、メッシを筆頭に、アスリートとしては比較的小柄な選手が主力選手として活躍しています。そうした点が、私にとって大きな魅力となっていたのだと思います。

漠然と、パスサッカーの象徴としてFCバルセロナのサッカーが好きと認識していましたが、別のところにも大きな魅力を感じていたのでした。