指導者も勉強し、自分で考える。そう言われても、コーチを始めたばかりの方は、実際に何をすれば良いか分からないはず。だからといって、昔自分がしていた練習メニューをしてみるというのもありがちなパターンではあるが、目の前の選手とその内容が合っているかどうかとなると、これもまた難しい問題となる。そうした場合は恐らく選手もビギナーに近い状態だと思われるので、私なりのお薦めのメニューを紹介したいと思う。
ビギナーが多い場合、まず間違いなく団子サッカーになる。サッカーコーチとしては、その状態からいかに早く脱出するかが、それが最初のポイントとなってくる。
私はこうした場合、バレーボールなどソフト目のボールを用意し、ラインゴール形式で、手を使ったボールゲームをやらせる。5対5くらいが良いと思うが、ボールを持って歩くのは3歩まで。地面にボールを突いてドリブルはOK。ただし、相手選手がボールにタッチしたら相手ボールになる。ラインゴールなので、最後は相手選手にタッチされずにそのラインゴールを通過したら1点。そんなルールだ。
つまり、相手選手のいないところにボールを動かし、そこで前に進む判断を付けさせたいのだ。ビギナーは得てして、ボールがほしくてボールの近くに寄ってしまうがそうではなく、相手選手がいない、ボールから遠いところにいることがいいんだよ、という理解をさせたいわけだ。
なぜバレーボールなどの柔らかいボールを使うかというと、ビギナーの場合、コーディネーション能力がそれほど高くない選手が多いことから、サッカーボールのような固いボールの場合、万が一キャッチミスすると顔面にヒットしてしまうため、それを避けたいのだ。
こうして手でボールを扱う練習と並行しながら、コーディネーション能力アップも行いたい。チームでぜひ用意してほしいのだが、この練習にはラダートレーニングが最適だ。
私が指導を始めるチームのほとんどが、コーディネーショントレーニングを取り入れていない場合が多い。そのために私は、個人的にラダーとミニハードルを持っているが、ぜひチームで購入し、ウォームアップ練習の中で必須としたいところだ。
手と比較して神経の数が圧倒的に少ない足を使って行うのがサッカーだ。足を自由に動かせるようになるためには、細かい動きを繰り返し練習する必要がある。そのためにはラダートレーニングが最適だ。実際のやり方は、YouTubeなどで『ラダートレーニング』と入れると様々なやり方が出てくるので、基本的なものをいくつか組み合わせて行うと良いだろう。
それと、練習全体の中で大事にしたいのが、練習の最後に紅白戦などのゲームをして終わることになると思うが、そこでその日練習したことを必ず選手にチャレンジさせる、ということだ。これまで繰り返し言ってきているが、練習と試合はイコールで繋がっていなければ意味がない。そこはイコールにできるよう、練習でやったプレーを試合の中で試すよう選手に声がけしていこう。
この練習を繰り返すことで、かなり早く団子サッカーから卒業できるはずだ。