先日、あるサッカーのテレビ番組を見ていて、司会の方が「なぜ多くのサッカーチームがバルサのサッカースタイルを真似するのか?」という疑問を、元日本代表の方に投げかけていました。
おそらくその司会の方は、他にももっと目指すべきサッカースタイルのがあるのではないか?という趣旨である雰囲気でした。ひょっとしたらそうした言葉が冒頭の言葉の後に続いていたのかもしれませんが、放送ではその問いかけだけでした。
このサイトで何度も書いていますが、サッカーという球技の特性を見れば、その答えは明らかになると思います。
サッカーは足で行うスポーツですが、球技という切り口でスポーツ全体を見れば、手でボールを扱うバスケットボール、ハンドボールなどもあります。
足よりは手の方が比べることもなく器用に動かせますから、サッカーよりもバスケットボールやハンドボールの方が正確なプレーが試合中、展開されます。
ですが基本的に一つのボールを使って行う『球技』で、ゴールを目指して二つのチームが競うのですから、理想的スタイルは必然的に似たものになるはずです。
バスケットボールもハンドボールも攻撃する際には、しっかりと自分たちでボールを保持し、ボールを失わない努力をしながら前へ、前へとボールを運び、シュートできる場所まで進みます。
そのためのポゼッションですから、ここに特別な理由は存在しません。
試合に勝つためにどう攻めるか?
そこから自然に導き出された形なのです。
表面的な形だけを見れば、いろんなサッカースタイルがあります。
ですが球技という基本特性から見れば、至るべき答は明らかになります。
そしてそこからサッカーを見てみると、サッカーならではの特性も見えてきます。
ハンドボール、バスケットボールでは、だれも選手のいない、いわゆるオープンスペースにボールを出すことはありません。そこへ選手を走り込ませるくらいなら、しっかりと選手のいる場所でボールをつなぐ方が効率がよく、速く相手ゴールにたどり着けるからです。
そうした視点から見てみると『スペースへボールを出す』というプレーが必ずしも効率のよいプレーではない、ということも理解できるでしょう。
もちろん、スペースへ出すプレーを否定しているわけではありません。ですが、原理原則からいろんな物事を見てみると、当たり前とされているようなことが実は当たり前ではなかったりするのです。
そうした目でいろんなプレーを見てみると、また違った答が出てくるかもしれません。
そしてそれが、新たなサッカーを生み出すかもしれません。
堅い頭でいては、サッカーコーチをするのは難しい。
いつも私は、自分自身にこの言葉で問いかけ続けています。