サッカーが育む人間力 その1

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IMG_7360 / wjarrettc

私は今後、今まで以上にスポーツというものの持つ可能性に関して多くの人々が重要視するようになると思います。
その中でも特にサッカーは、重要度を増していくと見ています。

サッカーは常に試合が動いていくので、自分ですべてを判断していかないと対応できません。
野球は1球1球、待ち時間があり、監督やコーチの指示を仰ぐ時間があります。
ですがサッカーはそんなことをしていたら、相手に簡単にシュートを決められてしまいます。
瞬間的な判断をしなければならないのです。

現代社会は猛烈なスピードで動いています。
今後はインターネットがさらに普及し、今まで以上に世界のあらゆる場所をカバーするようになっていくでしょう。
世の中の動きの速さがさらに加速していくのは間違いありません。
そうした社会で重要視されるのは、『一人一人の責任』です。

既にここで書きましたが、責任とはresponsibility。
responseするabilityです。

サッカーは、ポジションという割り当ては一応あるものの、試合の中でそれは非常に流動的で、それぞれがそれぞれの状況の中でベストと思える場所で、
・状況を把握 し
・それぞれの場面に最適と思われるプレーを選択 し
・実行 しなければなりません。

常に自分自身で『考え』、『判断』していかなけばプレーできないのです。

大きな組織はスピードアップしている社会に適応するため、より迅速に動くために事業部制へと移行しています。
事業部制とは、野村総研の経営用語の基礎知識ページhttp://www.nri.co.jp/opinion/r_report/m_word/jigyoubu.html)によると

事業部制 Divisional Organization

本社部門の下に、事業ごとに編成された組織(事業部)を配置した組織形態。本社部門の負担を減らし、各事業で迅速な意思決定ができる。

とあります。
迅速な意思決定を行うために、事業毎に編成された組織を編成したもので、最優先すべきは『迅速な意思決定』なのです。

必然的に、最前線で仕事をする一人一人に迅速な意思決定が求められるわけで、かつてのホウ・レン・ソウ型手法は廃れる方向にあります。

状況を判断し、その中からベストと思える方法をチョイスし、実行する。
正にそれは、サッカーの試合の中で選手が行うべきプレーそのものです。
それが日々の練習でトレーニングできるのですから、社会の中で重要視されていくのは当然のことであると、私は思うのです。

そしてまた、サッカーは常にミスがついて回るスポーツです。
何しろ、思うように動かすことのできない『足』を使って行うのですから、ミスは多発します。
プロ選手でさえ、試合中に何度もミスを冒します。
これほどミスの多発するスポーツも珍しいと思います。

このことに関しては、よくこんな例え話を選手の親御さんにすることがあります。
朝起きて、今まで生活する中で、脚の動きに関して具体的にどんな動きをイメージしたでしょうか?
指先なら、ものを握るために親指と中指と動かすとかありますよね。
でも足は、親指を上に持ち上げるとか小指を動かすとか、そうした細かい動きを考えることはまずありませんしいいとこ、前後に動かして歩く、というくらい大雑把なものではないでしょうか。
それくらい、足の動きは大まかなものなのです。

それを、つま先を外側に開いてくるぶしのあたりにボールを当ててインサイドキックする、といったように細かい動きをいきなりしようとするのですから、ミスが起こって当然です。

そしてミスをしたときに大切なのは、責任です。
ミスをしておきてしまった出来事に体し、反応し、対応を即座にしなければならないのです。

ミスは当たり前のものとして捕らえ、それにおびえることなく、積極的にチャレンジしていく。

これこそが、現在社会を力強く生き抜いていくために大切で最大の力になるのではないでしょうか。
それが養えるのが、サッカーであると私は考えます。

川上滋人