技術はあるが、サッカーは上手じゃないと言われる日本人

テクニックはヨーロッパの子供たちと比較して、彼らを上回るくらいなのにサッカーの試合をさせると負けてしまう日本の子供たち。
あるいは、ジュニア世代ではサッカーの本場であるヨーロッパ、南米の子供たちに勝ったりするのに、年齢が上がるに連れ、勝つことができなくなっていく日本人。
その理由の一つに私は、サッカー文化が日本に根付いていないことが挙げられると思います。

またその話か。
そう思う方もいらっしゃるでしょうが、サッカー文化が根付いていない結果、サッカーというスポーツを知らない大人が多く、そして同様に知らない指導者が存在しているでのはないでしょうか。
世界の頂点を目指すサッカーをするためには、ジュニアからの育成が非常に重要です。
ジュニア世代、つまり子供はなんと言っても、親の影響はもっとも強いものがあります。

サッカー好きのパパが子供と一緒にTVで見ていてつぶやく、あるいは叫ぶ一言一言は、子供の心に強く刻まれます。
そのつぶやき、あるいは叫びが的を射ていればいいのですが、サッカーというスポーツの本質から離れている場合、子供は方向性のずれたサッカー観を抱くことになります。

フットボーリスタという週刊誌の編集長である木村浩嗣さんはスペインに住み、現地で取材をしながら子供たちにサッカーを教えているそうです。何号か前にその木村さんが編集後記的なものの中で書いていたのが、ドラえもんが日本の街では歩いているのかと真顔で聞く小学4年生のその子供が、サッカーではカウンターをファウルで止めるという狡猾さを見せる。どうして両立できているのか不思議だと同氏は書いていますが、私はそれは、親の影響だと思います。
恐らく子供がサッカーをスタジアムで、あるいはTVの前で親とともに過ごすとき、親がつぶやく、あるいは叫んだのではないでしょうか。カウンターを受けた選手が止められなかったとき「どうしてファイルして止めないんだ!」と。さらに延々と子供に向かって、そうしたシーンでディフェンスの選手がすべきことを語ったかもしれません。

そうしたシーンが、その国のサッカー文化ではないかと私は思います。

いわゆる定石、というものです。

日本ではこの定石が、野球というスポーツでは存在しています。
草野球をフェンス越しに見ているおじさんがしたり顔で、そこはそういうプレーじゃないとつぶやいたり、あるいは叫んだりしている。

例えば、ノーアウトでランナーが1塁にいるときは送りバントをして、まずランナーを得点できる可能性の高い2塁に送る、といったこと。まぁサッカーの定石が、カウンターをされたときにファウルで止めるということなのかどうかというのはちょっと微妙な話ではありますが(苦笑)、カウンターをさせてディフェンスが数的不利だったときにまずどうすべきかという定石は、幼い頃から持ち合わせているに越したことはないはずです。
ではこの課題をクリアするにはどうしたらいいのでしょうか。

もちろんこの克服には相当の時間がかかる。でも時間がかかるからと放っておいていいという話ではなりません。

できるだけたくさんの大人がサッカーをプレイして楽しむことが解決のための一つの方法でしょうし、さまざまなサッカーを伝えるメディアが、より良質な、そうした定石に関わる話をしていくことも大切です。

そしてもう一つが、子供のサッカー指導者が、サッカーというスポーツをより深く知ることだと思います。

技術はあるが・・・といわれてしまう日本の子供たちを生んでしまっているのは、一つ一つのサッカーのプレイにフォーカスし、セパレートさせてしまってその部分の繰り返し練習を強いてしまうから、一つ一つの技術は素晴らしいのだけれど、それを試合で生かせないジュニアサッカー選手が生まれてしまっている気がしてなりません。

私自身も子供たちとの練習の中で常に気を付けるように心がけているのですが、どんな練習でもできる限りゴールをおき、その中にボールを入れる努力をするようにしています。

例えば、高いボールポゼッションによるサッカーをやろうと、ありがちなのが3対1、4対2といったいわゆる鳥かごの練習をしたりすることがありますが、この練習では、試合で常に求められる「可能な限り前を向いてプレーする」という大事な部分が抜けてしまっています。

さらには、少しでも隙あらばシュートしてゴールを狙う、という「点を取り合って勝敗を決める」というサッカーの大前提がスポイルされてしまってもいます。

サッカーというスポーツは「点を取り合って勝敗を決める」スポーツであり、そのためには常にゴールを意識し、打てるのならばどこからでもシュートにトライしてみる。

それが残念ながらまだまだ日本人には理解できていないのではないかと感じます。

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