『自由』。そして『責任』の意味

もっと自由にのびのびと。育成年代のサッカー指導現場でよく言われる言葉だ。サッカーは広いピッチの中で、22人が自由に動くことができるスポーツ。決まり切った形に押さえ込むのは、このスポーツの可能性に蓋をすることでもある。しかし、サッカー選手は全員、自分のプレーに関して『自由』であり、同時に『責任』も負う。今日はそのことについて考えてみたいと思う。

 

自由と責任。普通に暮らしているとあまり感じないことだが、スポーツの現場で指導にあたっていると、日本人のこの『自由』と『責任』に対する理解が浅いのではないかと感じることがよくある。

 

自由とはその言葉通り、英語で言えばfree。googleで『自由』と検索すること『他からの束縛を受けず、自分の思うままにふるまえること』と出てくる。

 

スポーツはルールに基づいて行われる。サッカーであれば、フィールドプレーヤーは手を使えないし、ゴールキーパーもペナルティエリア内のみ、しかも味方選手が足を使って出したパスを受けた場合、手は使えない。

 

さらに一チーム11人で戦うので、その11人が力を合わせ、チームスポーツとして戦うことになる。それぞれが自由に、しかも勝手にプレーしたとすると、チームとして機能しなくなってしまう。チームに所属する一人一人が、チームに『貢献』する働きをすることで、組織が機能するわけだ。

 

そこで登場するのが『責任』という言葉。責任とは英語で表現すると、responsibility。response(反応)するability(能力)、つまり、反応する能力が『責任』だ。

 

自分が何らかの行動をすれば、必ずそれに対して反応が起きる。そのとき、起きた反応に対応して何らかの行動をすることが『責任』だ。好き勝手なことをするだけで、そのことによって起きた事柄に対応しないのは『無責任』なわけだ。

 

自由に伸び伸びとプレーするのは問題ない。ただしそれぞれの行動は、チームに貢献するためのものであるべきで、しかも起きた事柄に対してはしっかり反応し、対応しなければならない。

 

それがチームスポーツの基本であり、自由であり、そして責任だ。そしてそれが、チームとしての規律(discipline)となる。Disciplineとは、軍隊などで使われる規律のことを指し、そういうニュアンスが強い。組織というのは、そうした強いルールによってそれぞれが行動し、初めて機能するものだ。

 

現代サッカーにおいては『ボールを大切にする』というプレーは基本中の基本とされている。そのための身体の向き、ボールの置き場所、運び方など、様々なトレーニングが行われている。

 

とは言え、サッカーは不器用な足を使って行われるスポーツなので、頻繁にミスが起きる。取られないように工夫をしたとしても、それが例えプロの選手であっても相手にボールを奪われることが試合中、頻繁に起きる。それは仕方ない。でも、ボールを奪われた選手がボールに一番近いはずだから、すぐに奪い返しにいくべきだし、取られない工夫を練習の中でもっとすべき。

 

それが、個々の選手に課せられた責任のはず。

 

『自由』と『責任』は、人として行動する時に、必ず重要なキーワードとなってくる。サッカーはもちろんのこと、普段の生活の中でも同様だ。そうした意識を持ち、言葉の意味を選手にはしっかりと理解させながら、自由と責任を持ったプレーができるよう指導したいところだ。

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