攻撃サッカーのための最新練習方法

非常に興味深い記事を見たのでご紹介します。

この記事は、川崎フロンターレ監督風間八宏さんと、ドイツ・ブンデスリーガのチャンピオンチームであるドルトムント監督のユルゲン・クロップ監督のトレーニング方法を紹介しています。

この記事の冒頭で、ディフェンスは指導しやすいが攻撃は指導しにくい、とあります。
たしかに、ディフェンスの基本はこのサイトでも紹介したように

「ボールホルダーとゴールの間に位置取りする」

など、セオリーがあるのでこれを試合中も守れば、そうそう崩されることはありません。
でも攻撃に関しては、常に同じ状況が起こりうることが限りなくゼロであるため、パターン練習は不可能です。
その結果、記事の中にもあるように、サイドにパスを出してそこからクロスを入れて中央でシュート、というパターン練習に終始することになるわけです。

では攻撃はどのように練習した方がいいのでしょうか。
その一つのヒントが、ポゼッションサッカーのための練習　その１です。

サポートして後ろでラインを作り、相手選手が少ないサイドに早くボールを運んで展開すれば、空いたスペースを使って前にボールを運べます。

これが一つの方法。
ですがこれだけでも攻撃は手詰まりになります。
なぜならば、相手ゴールの近くまでボールを運べば、カウンターによる速攻でもない限り、相手選手の数は増え、スペースを埋めてくるからです。

ではどうしたらいいでしょうか。
結局、最後は狭いスペースをいかに崩すか、という問題に直面するのです。

その答えの一つが、クロップ監督、風間監督の練習方法の中にあります。

例えばその一つの練習方法がマークに付かれていても相手を外してパスを受ける練習で、それはこの記事のクロップ監督の練習メニューの一つ目です。

相手を外す動き。
フットサルでは「ケブラ」と言われ、これはYouTubeに動画がありますので、これを参考にしてみてください。

そしてこの動きは、風間監督が出されているDVDの中でも紹介されており、その練習方法の一つが、ご紹介した記事の中のボランチ二人がボールを回している間にトップ下の選手がタイミングを合わせてボールを受けて崩す、という練習です。

この練習メニューの手前のトレーニングメニューとなるケブラに関しても練習メニューが組まれており、これは風間監督のDVD「Vol.２運ぶ・外す」の外すのところで紹介されています。

ボランチ二人とトップ下の動きの練習は風間さんのDVD「Vol.3」です。

ほとんどの指導者が相手を外すために逆に身体を動かしてフェイクを入れてからボールをもらうという練習をしているでしょうが、外すタイミング、ボールを受けるタイミングに関して明確な言語化して説明しているDVDを私は風間さんのDVDを見るまで知りませんでした。

そういう意味で、実に衝撃的で、文字通り目から鱗でした。

この「外す」「ボランチ二人とトップ下」の練習に関してはまた改めてご紹介します。

この記事の中では三つほど練習メニューを紹介していますが、私はその中でも２番目の練習メニューをお勧めします。

これはハーフコートで5対5のミニゲーム、しかもプレーはすべてワンタッチというものです。
コートはできるだけ広く取ってやりましょう。

ワンタッチでしかもピッチは広いのですから、最低でも二人の選手の関係がないとボールを運べません。

ここでやったように、サポートの動きが大切で、前に運ぶには

１くさびを入れる

２落とす

３サポートの選手が受けてさらにくさびを入れる

という繰り返しで、前に運ぶことが可能となります。

この練習によるメリットは、選手のレベルによって異なります。

まず小学生低学年に遣らせた場合、パスを出すイメージを持たせることができます。
小学生低学年は

１ボールを止める
２次のプレー（得てしてドリブル）

となります。
ところがこの練習では足下に止められませんから、回りの仲間を探すことになります。
つまり、パスの基本である

１仲間を探す
２そこにキックしてボールを出す

という動きが自然とできるようになるわけです。

選手のレベルが高くなれば、二人の位置（距離、角度）をうまく保てばゴール前まで迫ることができ、パスを出したらそれでタスク終了、というプレーから脱却できます。

ボールを早く回せばターゲットが絞りにくくなり、相手にボールを奪われにくくなる。
このための練習もしておく必要がありますが、広いピッチでのダイレクトプレーのみのミニゲームは実に効果的です。
ぜひ試してみてください。

それと、記事の中でご紹介したYouTubeの動画は、この動画の中の一つです。

このDVDもサッカーで役立つものがたくさん入っています。

これもお勧めです。

川上滋人